超十夜祭はなぜ「超」なのか
超十夜祭なはぜ「超」なのか
とか、これまでの「十夜祭」とどう違うのかとっていうことを、よく聞かれます。いろいろ「超」なので、そのあたりをゆるゆると書きます。あわせて、「超十夜祭」にかける意気込みなども書きます。が、その前に「十夜祭」ってなに?というおさらいから。
⓪ 十夜祭ってなに?
10月から11月にかけて天台宗、浄土宗、時宗などのお寺でつとめられる「十夜法要(じゅうやほうよう)」。浄土宗においては、後土御門(ごつちみかど)天皇からの勅許をいただいて始まったという由緒ある法要なのですが、「彼岸」「お盆」などの仏教行事ほどメジャーではなく、法要を執り行ってもどうも参列者の数が伸び悩んでいました。
だけど、お参りにうってつけの「仏欲の秋」に行われる行事で、背景にある物語も魅力的(詳しくは浄土宗のホームページなどを見てください)ので、フェス化して盛り上げることでリバイバルできないか、というのが十夜祭のスタート地点です。
このリバイバル構想は、私自身が2015年春までに温めていましたが、実現できる余力もなかったので、ちょうどその頃にお寺を訪ねてきた圓城史也氏にすべて委ねました。その秋から十夜祭がスタートし、今年が第4回目となります。龍岸寺は第3回目までご一緒してました。去年の龍岸寺は、「お寺×クラブハウス」というテーマで、11月10日(金)~12日(日)の3日間にわたって実施しました。以下はそのときのアーカイブです(動画タイトルは「十夜祭2018」になっていますが、去年の映像です。また、他のお寺の映像も含みます)。
これまでご一緒させていただいたことには感謝してますし、今年の十夜祭に対しても成功を願っているので、批判的なことを言うつもりはありません。袂を分かった理由は、まあ、いろいろありますが、いわゆる「方向性の違い」ってことです。
ただ、あまりにふわっと「方向性の違い」と言われても釈然としないでしょう。ざくっと言いますと、学生の町・京都ならではの強みを生かして「お寺×学生」というコラボでやってきたのが十夜祭の仕組みでしたが、学生に限らずお寺に関心を寄せてくれる多くの人々とさらなる盛り上げを狙いたいというのが「超十夜祭」です。このネーミングに落ち着くまでには、「裏十夜祭」「真十夜祭」などいろいろありましたが、「超」をつけると強そうだという意見をたくさんいただいたので「超十夜祭」となりました。「超十夜祭z」にするとさらに強そう、という声もありましたが、なんかドラゴンボールみたいな感じがするし、もとの「十夜」がだいぶドーピングされていて得体がしれないので、「z」をつけるのは断念しました。
以下は、ミーティング(のあとの食事)のときの風景です。社会人も学生も一緒に関わっている感じが伝わるかと思います。去年までの十夜祭を知る人からすれば、「変わったな」というのが伝わるのではないでしょうか。
それで、その違いは具体的にどう現れているかといいますと、
① 期間が長いから「超」である
十夜の伝統にのっとれば、文字通り十日十夜にわたって開催するのが本来の姿です。したがって、十夜祭では、数か寺を舞台にのべ10日間程度実施するようにしてきました。しかしながら、龍岸寺で10日間ぶっとおしでイベントやり続けるのはしんどい(その間に葬儀などが入る可能性もある)ので、リスク回避のために会期を長くして、何度でもお参りしてくださいというシステムにしました。そういうことで10月13日(土)~11月18日(日)を会期として定めました。
② コラボしてるゲストが「超」である
これはこれまでの十夜祭のおかげによるものでもありますが、お寺に関心を寄せてくれる人々が増えてきました。特に秋の時期は多いです。なので、学生主体の企画もあれば、大人たちで展開する企画もあっていいだろうというのが超十夜祭のスタンスです。
舞台裏を明かしますと、10月20日(土)、21日(日)の福間創さんのライブ「LIVE IN HEAVEN II」はご本人の主催ですが、11月10日(土)のマーキーナイトは龍岸寺との共催。11月16日(金)に朝倉行宣さんを迎えて行う「テクノ法要」はお寺主催です。「テクノ法要」には、龍岸寺に顕現中の浄土系アイドル「てら*ぱるむす」がコラボするだけでも見逃せないですが、さらなるサプライズも企画中ですので、楽しみにしててください。
せっかくなので、イベントの広報用画像をずらっと並べてみます。なんと多彩なキャスティングか!ということが伝わると思います。
まずはオープニングは宗教間対話のカフェ「冥土喫茶ぴゅあらんど」。10月13日(土)15時から。
10月20日(土)の公演が即日完売になったので、翌日の追加公演が決まった福間創さんの「LIVE IN HEAVEN II」。
10月28日(日)は朝8時から「釈迦モーニング」。念仏+トークの時間。
11月10日(土)は「marquee≠night 21 in 寺」。このイベント、今年6月にも行われたのですが、そのときには116名もの参加者が。今回も大きく盛り上がる予感。
そして、11月16日(金)は京都初公演となるテクノ法要。しかも浄土系アイドル「てら*ぱるむす」コラボ。
関わってくださってる皆さんが、お寺を盛り上げていきたいと願ってくださってるので、お寺としても朱印を提供したり、限定Tシャツを販売したり、巨大な甘露図(写真下)の展示をしたりして、さらに面白くしていきたいというところです。甘露図についてはこちらのニュース記事もあわせてご参照ください。
③ お寺にお参りすることによって世界がうるおうから「超」である
企画はまだまだあります。今年の超十夜祭には、仏師の三浦耀山さんにも、いろいろと協力していただきました。三浦さんにご協力をお願いしたのは、伝統工芸の技術を持った職人さん(しかも頭の柔らかい人)とのコラボなくして、お寺のこれからの盛り上がりは望めないという考えによるものです。
三浦さんと話していると、不思議なぐらいいろんな可能性が見えてきます。企画第1弾としてお届けるするのが、「お寺×仏師×3Dプリンター」のコラボレーションから誕生したのがこの「ガチャ仏さま」。制作には、株式会社キャステム京都のLiQさんにもご協力をいただきました。ラインナップは、釈迦仏(誕生)、釈迦仏(涅槃)、阿弥陀仏、弥勒菩薩、地蔵菩薩の全5種類。1回500円。どんな仏さまに出会えるかはあなたの縁次第です。
三浦さんとのコラボ企画については、まだ隠し玉がありますので、情報のリリースを楽しみにお待ちください。
いずれにしても、伝統工芸の技術者が、培った技術をもとに新しいことにチャレンジするとき、お寺というのはうってつけの場所になるでしょう。そういうプロセスを経て、伝統文化が再び力を取り戻していくと、日本に活気が生まれてくると思います。あ、この辺の構想は、都築数明さん(クロート・クリエイション代表)から大きな示唆をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。
また、今年は「超十夜祭」の初年度ということで、かなりの試行錯誤とそれに伴う出費があります。なので、終わった後に、どれだけお金が残るかわかりませんが、仮に赤字になったとしても収益のいくらかは、災害復興支援、国際協力支援などのためにお金を使いたいと考えています。
十夜をこの秋の時期に行ってきた意味合いのひとつに、収穫の時期に天地の恵みに感謝するということがあります。いまでも龍岸寺の本堂には、毎年100kgぐらいのお米が供えられ、このお米はすべて児童養護施設に渡しています。
そんな風にして続いてきた十夜ですし、特に今年は自然災害の被害が多いので、やはり「超十夜祭」も単なるお寺の盛り上がりではなく、社会全体、世界全体が幸せになるように願って展開していきたいと思うのです。壮大な言い方をすると、仏教文化圏の再構築、ということになるでしょうか。
お参りいただける皆さんも、そのような願いのなかで手を合わせていただけると、お寺のなかで過ごす時間が生きたものになるかと思っています。
――ということで長々書きましたが、「超十夜祭」にかける想いはざっとそんなところです。イベントの詳細はこちら。
https://ryuganji.jp/chojuyasai/
広報twitterもぜひフォローしてくださいませ。未発表のサプライズ、いくつかありますので、お見逃しなくです。
最後に、フライヤーを載せておきます。配布に協力してくださる方、ご連絡くださいませ。
では龍岸寺にて、皆さんをお待ち申し上げております。