掲示板法話

掲示板法話「あなたは 生まれつきの あなたのままでいい」(法然上人)

掲示板法話「あなたは 生まれつきの あなたのままでいい」(法然上人)

謹賀新年!

新年おめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

この掲示板法話、前回までは悩み相談に答える形にしていましたが、今回は年始ということで、浄土宗の開祖・法然上人(1133-1212)の言葉をいただいて新年のご挨拶といたします。

冒頭に書いた「あなたは生まれつきのあなたのままでいい」は、法然上人が弟子の禅勝房に語ったとされる言葉を簡潔に意訳したものです。詳しくは次のように語られています。

「過去世からのいろんなめぐりあわせの中でいまの私たちの命があるのです。だから、どれだけ努力しても叶わないことがやはりあります。たとえば、女性が男性になろうと思っても無理だ、というのもそのひとつでしょう。ことさらに自分を飾り立てたり偽ったりせずに、頭のいい人は頭のいい人なりに念仏すればいいですし、頭の悪い人は頭の悪い人なりに念仏すればいいのです。心優しい人は心優しい人なりに念仏すればいいですし、ひねくれた人はひねくれた人なりに念仏すればいいのです。
経典によれば阿弥陀如来の光はあらゆる人を照らしてくださっているのですから、みんなが生まれつきの姿のままで念仏すればそれでいいのです

誇らしく生きよう

この言葉、はるかに時代が隔たったいま読んでも、なかなか味わい深く感じられないでしょうか。「お金持ちの家庭に生まれてたら…」「あと10センチ身長が高かったら…」「顔立ちが整ってたらモテたのに…」「健康な体が欲しかった…」などと、自分の生まれた境遇や両親からもらったDNAを恨んだことは、誰だってあるはずです。恨んだところでなにも変わらないのはわかっています。それなのに恨みに思う気持ちを捨てられない――これが昔から変わらない人間の悲しい性なのでしょう。

法然上人は、経典の言葉を根拠に、「阿弥陀如来の光は私たちの境遇や性格などによって差別することはない」とさとしています。太陽や月の光が私たちを分け隔てなく照らすように、仏さまの光も必ずあらゆる人を照らしてくれます。思うに任せない苦しい日々のなかでも、あなたはあなたであることに誇りを持って生きてほしい。そんな風に願って、法然上人は悩めるお弟子さんたちを優しく導いたのだと思います。

皆さんそれぞれが、この一年を誇らしく生き、多くの実りを結ばれることを願っています。