お十夜ってなに?

私は池口住職の弟子の森田陽香と申します。お寺に出入りしているのでお会いした方もいらっしゃるかもしれません。これから皆さんと関わることができれば幸いです。大学・大学院で6年間仏教を学んで仏教文学を研究しておりました。私なりの着眼点で書かせて頂きます。今回の内容は十夜法要についてです。初原稿になります! よろしくお願いいたします。
十夜法要って何?
龍岸寺では毎年11月に十夜法要を開いております。十夜法要とはそもそも何なのか? この法要の起源、意味を紹介します。
十夜法要は浄土宗で行われている十日十夜に渡って営まれた念仏法会であり、念仏を10日間唱えるお寺の行事です。
『無量寿経』において「此に於て善を修すること十日十夜すれば、他方諸仏の国土に於て善を為すこと千歳するに勝れたり(この世で10日10夜の念仏は仏の国で千年間の善行を積むことにも勝る)」の文に基づき、陰暦10月5日~10月15日(現在の11月5日~11月15日)まで行われていました。現在は3日あるいは1日に短縮して行われています。浄土宗寺院を中心に全国にみられる十夜法要の始まりは、真如堂(京都市左京区に所在する天台宗の鈴聲山眞正極楽寺)で行われたものが最初と言われています。
この世で十夜法要を行うのは功徳がとても大きく尊いことなので、是非行いましょうということです。
十夜法要でお告げ?
そんな十夜法要の起源となった真如堂でのエピソードを紹介します。
伊勢貞国という幕府に仕えていた室町時代~安土桃山時代に実在した人物がいました。伊勢家は世襲的に幕府の財政と領地に関する訴訟をつかさどる職に就いていました。
貞国は世の無常を案じ出家をする覚悟で真如堂に籠って念仏をし、剃髪しようとしたところ、夢に高僧がでてきて出家を思いとどまりました。すると翌日に兄の貞経が失脚し、貞国が家督を継ぐことになったのです。貞国は家督になることができたのを喜び、お礼として真如堂で七日七夜の念仏を行ったのが十夜法要のはじまりと言われています。
まとめ
十夜法要は大きな功徳があるということが分かると思います。『無量寿経』は浄土宗が大切にしている3つの経典(『無量寿経』『観無量寿経』『阿弥陀経』)の1つです。
その中にある教えを大切にしていきたいと思っている次第です。私も去年から十夜法要に参加しました。貞国のように十夜法要を通してお告げがあったらいいな。なんて思っています。

文 龍岸寺徒弟・森田陽香