掲示板法話

掲示板法話「どうしたらお金持ちになれる?」

掲示板法話「どうしたらお金持ちになれる?」

お金持ちは羨ましい!

私が小学生の頃、夏のお盆の時期には住職である父に連れられて、檀家さんのおうちに親子そろって読経しに行きました。

檀家さんにとって、アニメの「一休さん」みたいな小僧さんがやってくるのは、ワクワクする一大行事らしく、ジュースと駄菓子でもてなしてくださいました。私にまでお布施を包んでくださる方もありました。

お布施はお寺へのお供えであり、自分のお小遣いにはならない――という理屈は教わりましたが、お布施袋にいくら入っているか気にならないはずがありません。冷静をよそおいながらも、「あ、硬貨だな」と手触りを楽しんだりするなど、邪念たっぷりに受け取っていました。

お寺に帰ってから袋をのぞいてみると、お布施袋の中身はたいてい五百円か千円でした。ときには、二千円のこともありました。ごく稀にですが一万円札を入れてくださることもあり、これは会社を経営している社長さんのおうちでした。「お金持ちなんだなぁ」と羨ましく思いました。

なんのためのお金?

檀家さんをたくさん訪ねていると暮らし向きが見えてきますから、いただけるお布施の金額が生活水準に比例することもわかってきます。

でも、例外もありました。すごく慎ましい暮らしをされていながら、私のつたない読経に確か三千円もお布施してくださる方がありました。しかも、大金をお布施したという素振りはありませんでした。むしろ、お布施できたことを喜んでくださっているように見えました。

私には意味が理解できず、父に尋ねました。そうすると「あの方は信心深いからなぁ」と教えてくれました。

自分が稼いだお金は、自分や家族の暮らしのために自由に使うというのが、通常の感覚かもしれません。でも、自分の生活が不自由でも、仏さまのためや世界の平和のためなど、もっとかけがえのない価値のためにお金を使う生き方があることを、このお檀家さんと接するなかで学びました。貴重な体験でした。

お金持ちになる方法

足ることを知らば貧といへども富と名づくべし
財ありとも欲多ければこれを貧と名づく

大乗仏教思想を大成させたといわれる竜樹の言葉です。まさしくその通りだと思います。仮に、1億円の財産があっても、お金に目がくらんでいる人は、10億円欲しい、100億円欲しいと願うあまり、いつまでもわが身の豊かさに満足しないでしょう。逆に、先に書いた檀家さんのように、暮らし向きは慎ましくとも、お金に振り回されずに堂々と生きている人もいます。

どちらを本当の富者と呼ぶべきか、明らかですよね。

皆さんも、欲にはキリがないことを肝に銘じましょう。貧しさから卒業する道はそこにあります。