檀家紀行

【えびす農園】魚と野菜の元気を、京都の暮らしの力に

【えびす農園】魚と野菜の元気を、京都の暮らしの力に

龍岸寺の檀家さんを訪ねて歩く「檀家紀行」。3回目の訪問先は、お寺から徒歩約10分のところににわかに誕生した「えびす農園」。
大都市に住むと交通の便がよかったり、コンビニは近くにあったりと、快適に暮らせるようような気がする。一方で、断念せざるをえないこともある。そのひとつが、採れたての新鮮な野菜との出会いだろう。

しかし、榎和哉さん(55)・素代子さん(51)ご夫妻の挑戦は、都市部の食事情を大きく改善してくれるのかもしれない。

龍岸寺のある京都駅西部エリアは、近年、新駅ができてホテル建設が相次ぎ、急速に観光地化が進む。

そんな中、今年4月、その一角に檀家総代の榎和哉さん・素代子さん夫妻が、新たに農園をオープンした。夷馬場町という町名にちなんだ「えびす農園」である。

ただし、この農園には、どこにも土がない。代わりに目にするのは、水槽を泳ぐたくさんの魚である。魚の排泄物を微生物が分解し、植物がそれを栄養として吸収して成長する。そして、浄化された水が再び水槽に戻るから、魚も成長する。アクアポニックスという循環型の水耕栽培である。日本ではまだ珍しく、京都市内の商用施設としては初めてだという。

農園の下では魚(ティラピア)が元気に泳ぎ回る

和哉さんの本業は税理士。下京区に事務所を開いて今年で20年。龍岸寺の会計役も担ってきた。

農業との出会いはコロナ禍だった。外出できないから、それまで見向きもしなかった庭仕事を始めたら、没頭するほど楽しかった。ふとテレビから流れてきたアクアポニックスの世界に驚くとともに「これだ!」と思った。

すぐに専門家からノウハウを学び、1年以内に30㎡の農園設備を完成させた。試行錯誤しながら、無農薬の新鮮な野菜を生産し販売している。「地域の役に立っていることが嬉しい」という。旬の野菜との出会いを楽しみに、立ち寄ってみてはどうだろう。

レタスなど葉物野菜に適性がある
榎さん夫妻に教わって収穫を体験

えびす農園

住所:京都市下京区夷馬場町44
電話:(075)354-5213
https://flow-aquaponics.co.jp/
野菜販売:9時30分〜16時(月~金曜日)

※ この記事は、「ファン通信」Vol.13に掲載されたものです。