掲示板法話「どうしたら賢くなれる?」
夏至の光、内なる輝き
夏至は一年で最も昼が長く、太陽の光が満ち溢れる季節です。この時期には自然界が活気づき、生命力が溢れる様子が見られます。
太陽の力強い光を浴びながら、外側の輝きだけではなく、自分自身の内なる輝きに目を向けてみてはいかがでしょうか。私たちは、心のなかに太陽と同じような輝きや生命力を持っています。それは、個々人の独自の才能や情熱、善性などです。
夏至の季節に、自己の内なる輝きに目を向け、その輝きを開花させるための時間を取りましょう。自分自身の可能性や夢、目標を見つめ直し、それを実現するための行動を起こすことが大切です。
人口知能 vs 人間
いかがでしょうか。上に書いた「夏至の光、内なる輝き」の文章、私にしてはド直球すぎて少しクサかったでしょうか。でも、 太陽の光の恵みを感じやすい6月にふさわしい、よくできた法話だと思いませんか?
実はこれ、最近話題の「chatGPT」に「2023年6月の法話」と入力したら、ものの数秒で画面に表示された文章です。細部はさすがに多少修正しましたが、タイトルや筋書きはそのまま使いました。私が考えるよりも明らかに爽やか。季節感もうまく盛り込まれ、AIの能力を妬ましく感じます。お坊さんの代わりにAIが法話する時代も遠くないかも…とため息が漏れてしまいます。
賢さってなんだろう
人間が誇ってきた“賢い”生き物の王座が、奪われつつあります。でも、焦らなくてもいいと思います。
さ そこぢゃ そこを越すのが 仏道ぢゃ(田中木叉)
お寺に伝わる掛け軸に書かれた言葉です。仏教の本質を突いた、ユーモラスな五七五ですよね。
いまの自分になにが足りないか。私たちは薄々わかっているんです。でも、いまの自分を越えていくのはしんどいんです。だから、「アタマではわかってるんだけど…」なんてつい口癖のように言って、誤魔化して生きているのです。せっかくの機会なので白状しますが、スミマセン、今朝寝坊しました。昨晩ちょっとお酒を呑みすぎて…。疲れてる日にお酒を呑み始めたら、呑まれるのわかってるんですけど…。
自省をこめて言います。わかってるのにできない――そんな人、全然賢くない。典型的なバカです。
仏教で“賢い”と考えるのは、知識や経験を生かして生きる姿です。アタマだけではなく、お腹の底から理解して、バカな自分と決別して越えていく。それができる人こそ、“賢い”と呼ばれるにふさわしいのです。いまあなたが、ちょっとでも変わろうと志していたら、知識を持っているだけの人間やAIより、すでにはるかに“賢い”のです。AIもうまく活用して、人生をより充実させようとすることが肝要です。
この6月、初夏の太陽に照らされ、賢く輝かしく生きる大いなる一歩を、力強く踏み出しましょう。