お寺の日々シングルファザー住職の育児日記

初めての虫カゴ

初めての虫カゴ

子供とお寺スタッフが庭でヤモリをつかまえてきた。

「お父さん、飼っていい?」と息子。
「いいよ」と私。
「え、本当?なにに入れたらいい?」と息子。
「この味噌の入ってた容器がいいんじゃない?」と私。

でもまだ、息子は疑いのまなざしを向けている。

そうか。うちではペットとか虫とか育てたことがなかった。虫カゴを買ってあげたこともない。ヤモリ捕まえて目をキラキラさせている息子に対して、すごい申し訳ないなと思った。

これまで虫カゴを買わなかった理由はいくつかある。

まずは、別れた奥さんが大の虫嫌いだったし、娘もやはり大の虫嫌い。虫取ったり、カゴに入れて育てたりというのは、まったく興味がない。

私は、虫取りが嫌いではないけれど、住職やってると週末の昼間はたいてい法事。なかなか虫がいっぱいいるような自然のなかに連れてってあげられない。お寺閉門して以降に、夜間開いてるプールとか、スケートリンクとかに連れてくのは可能なんだけれど。

息子はというと、これまでも虫を育てたそうにはしていたけれど、夏祭りでもらってきたカブト虫も、大事にしてるわりにエサをあげるのを忘れ、気が付いたときには時すでに遅し。エサぐらい私があげればいいんだけど、夏場はお盆のおつとめでそんなに暇はなくて。

だから、虫を捕まえたりするのは、私が実家のお寺に遊びに行った時ぐらい。庭でつかまえた虫を持って帰りたそうにしてても、「この前、カブト虫をかわいそうなことにしたでしょ」と諭して諦めさせる。

でも、いくら事情があったとしても、いままで一度も虫カゴ買ってなかったのは、父親としてひどい。さすがに反省。ごめんな。

ということで、初めての虫カゴが我が家にやってきた。

娘も、意外なことに、ヤモリは嫌いじゃないらしい。昆虫は飛ぶからよくないんだとか。

……女心は、わからん。どっちもかわいいと思うんだけど。

朝起きたらヤモリにあいさつ。庭に出て、エサとなる虫を取ってきて、虫カゴに入れる。その様子を見て、ちゃんと世話ができる年齢になったんだなぁと成長を感じたりも。宿題やるのも忘れて、うっとりヤモリを眺めていることもあるから、そこは要注意だけど。

お風呂入るときも脱衣所まで連れていく。 当然、朝、本堂のおまいりも一緒。子供の読経のトレーニングのため、内陣にいま座らせている。だから、ヤモリも内陣に。本来なら、清浄な内陣に連れ込んじゃいけないんだけど……と思うけれど、注意してもわからないだろう。幸せそうな子供の顔が歪むのは見たくないから、仏さまどうか三度目ぐらいまでは大目に見てやってください。南無。