最近の風景「お寺でのお葬式」
昨年の暮れ、「お寺でお葬式をあげたい」という声を二軒のお檀家さまから寄せていただき、本堂でお葬式を執り行うご縁がありました。
厳寒の京都であれば、そこかしこから隙間風が入り込むお寺のお堂よりも、空調設備も完備されている葬儀会館のほうが快適かもしれません。山門から本堂までは階段が何段もあり、足腰への負担にもなります。しかし、ご遺族は、伝統のある空間で最期のお別れの時間を過ごせたことを喜ばれ、納得のいくお葬式ができたと言ってくださいました。やはり本堂には独特のぬくもりと荘厳さがあるのでしょう。龍岸寺は来年で開基から四百年になりますが、その歴史の一ページに命が連なり、未来へとつながっていくような感覚を私も味わいました。
また、ご逝去の日から葬儀・初七日までの間にわたり、お寺の本堂や座敷にてご遺族の方々とも親しく交流させていただけたことも、私や寺族の喜びでした。突然の悲しみに私どもがどれだけ支えになれたかはわかりませんが、苦しい時間も悲しい時間も共有していくことで、お葬式や法事などの儀式ひとつひとつがご遺族の方々に生きたものになっていくはずです。かけがえのない時間がお寺からたくさん生み出されていくことを願います。
お寺は営利を目的としておりません。費用面でも喪主の負担を軽減できるかと思います。お気軽にご相談ください。
(春彼岸のニュースレターより転載)