仏教はなにを教えてくれるの?

子供の頃に誓ったこと
「法話のテーマ」をオンラインでつのったところ、「子供にもわかりやすい法話を」という声をいくつかいただいたので、今月は「子供から大人まで理解できる」にチャレンジして書いてみます。
小学生の頃、地域の子供たちがお寺に集まって行われる2泊3日の夏合宿に、参加したことがあります。お経を読んだり、掃除をしたりという修行もありましたが、水遊びをしたり、花火をしたりという楽しい時間もあったように記憶しています。
夏合宿のなかで、お坊さんから「『明るく、正しく、仲良く』という3つを守って生きていくのが仏教の教えだ」と学びました。なぜかというと、「この3つの心を、仏教では『三宝』つまり3つの宝物として敬っているからだ」ということでした。私は子供の頃からお寺のなかで暮らしていましたから、お経を読むことには慣れていましたが、なにが書いてあるかは、説明を聞いてもよく理解できませんでした。でも、「明るく、正しく、仲良く」というのは小学生にもわかりますし、すごく素晴らしい教えだとも思えたので、仏さまの前で「明るく、正しく、仲良く生きていきます」と固く誓いました。
大人になって思う
それから30年以上が経ち、お坊さんになった私は、子供たちに仏教を伝えるようになりました。
「『明るく、正しく、仲良く』を守ってくださいね」と子供たちに言い聞かせるたびに、私はひそかに胸の奥が痛んでいます。小さいときに固く誓った約束を、自分自身が果たせていないのに気づくからです。
晴れわたる青空のように、いつも「明るく」生きられたらいいですが、心のなかにどんよりと雲がかかっている日も少なくありません。
怠け心におそわれることはしょっちゅうで、「正しく」歩めず後ろめたい日を重ねています。
心に余裕がないときは、他人を思いやることができず、「仲良く」できない日もあります。
「明るく、正しく、仲良く」という教えを、子供たちとともにあらためて学んでいるように感じています。
宝物を大事に生きる
「三宝」は、正確に仏教の言葉で言うと、「仏・法・僧」の3つです。「僧」は、お坊さんを意味する漢字ですが、ここでは「仏さまの前に集まった人たち」を表しています。この3つを、「仏さまのように明るく」「仏さまの教えのように正しく」「仏さまの前にいるみんなが仲良く」と受け止めていることになります。
古くは、聖徳太子(574-622)が『十七条憲法』で「あつく三宝を敬え」と定めています。「明るく、正しく、仲良く」は、とてもわかりやすいのに、とても守りにくいから、ずっと重んじられてきたのでしょう。そして、これからもずっと、宝物として敬われていくことだろうと思います。

文 龍岸寺住職・池口龍法