お寺の日々シングルファザー住職の育児日記

三千礼拝ならぬ三千縄跳び

三千礼拝ならぬ三千縄跳び

一昨日、無事にYouTuberデビューを果たした息子。超ご機嫌。しょっちゅう「チャンネル登録者数増えた?」と聞いてくる。

でも気分が浮ついてるときは、いろんなことが疎かになりやすいもの。

昨日は私は朝からお葬式で外出。暇を持て余してもろくなことがないのは目に見えている。娘のほうには塾の宿題をやるように言いつけ、息子には新しい本を渡して「これを読んでおくように」と。

で、火葬場での読経もすべて終えて帰ってきたら、娘が一生懸命勉強している横で、息子は一生懸命テレビ見ている……。「本は全部読み終わった?」「……ううん、まだ読めてない」「あ、じゃあピアノは終わった?」「……ううん、まだ」「へぇー……」

まずここで一度目の雷がドカン。

昼ごはん作って、洗い物も終わったころに、葬儀社から連絡。「いまから火葬場を出ます。初七日のおつとめにホールにお越しいただけますか」と。支度して、再び「ちゃんと本読んどきなさいね」と言い残して、葬儀会館に向かう。

初七日のおつとめが終わり、帰ってきたら、またしても娘が勉強している横で、息子はテレビを見ている……。あれ?あれれれれ?

二度目の雷がドッカ――――――ン。

「午前中に怒られたのになんで同じことの繰り返しなの?」「こっちはお葬式で真剣に読経して帰ってきてるのに、お姉ちゃんも一生懸命勉強してるのに、なんであんたはぼけーっとテレビ見てるの?」「信じられない。最低」とガミガミガミガミ。

ここで、檀家さんから「最近息子さんぽっちゃりしたね」と運動不足を指摘されたのをふと思い出した私。

「庭で縄跳び3,000回やってきなさい!!」

「え、さ、3,000回……」と息子。

「過去、現在、未来に仏さまはそれぞれ千体ずついる。だから、天台宗ではお坊さんが修行するときに、三千回礼拝する。縄跳びも一緒。一回飛ぶごとに仏様に自分の罪を反省する気持ちをもって、三千回飛ばないといけない。それでようやく嘘をついた罪が消える」

沈黙する息子。表情は「礼拝と縄跳びは違うんじゃ……」と明らかに語っていたけれど。

「なにか文句でも?早く行ってきなさーい!!」

窓越しに様子を見てると、20~30回で一回ぐらい引っかかる息子。3,000回というのはかなり厳しい数字。5月初旬とはいえ、ちょうど暑い日でもあったので、汗だくになりながらなんとか1,000回を飛んだところで、日も暮れてきた。

「よし、あとは明日にしよう。天台宗でも三日にわけて三千礼拝するからな」

そして翌日。

「庭で縄跳びあと2,000回」と命じたら、最初こそしぶってたものの、やり始めたらあとはすんなり。前日に1,000回飛べたのが自信になったんじゃないか。午前中いっぱいかけて、2,000回を飛び終えた。

はつらつとした表情を見ると、私が適当にこじつけた三千縄跳び修行だったのに、仏さまが罪を消してくれたようにも思えた。

三千縄跳びを終え、疲れたけどやり切った感……風の写真。カメラを向けると演じてくれる、駆け出しYouTuber

運動不足解消にもちょうどいいし、縄跳び修行は明日からも続きそうな気がする。私もこのところ運動不足だし、一緒にやろうかな。