冥土喫茶♡ぴゅあらんど 第15回「異時同図でTime – Slip! 〜ぴゅあらんど縁起絵巻」

冥土喫茶♡ぴゅあらんど 第15回「異時同図でTime – Slip! 〜ぴゅあらんど縁起絵巻」

2024.5.11 (土) 15:00~17:00

満席
終了

古今東西のさまざまな宗教をテーマに語らう場としてこれまで開催されてきた「冥土喫茶♡ぴゅあらんど」。今回で、開店以来メイドをつとめてきたくーたんが「卒業」します。

8年間のあゆみを振り返るとともに、メイドくーたんの研究発表会 & プチ個展を開催します!

極楽浄土や地獄、天国や煉獄に代表されるような宗教的世界観が人々のあいだに広がっていくとき、「イメージ」の力は欠かせないものでした。

人々はイメージを拠りどころとして、死後の世界に対する不安を乗り越えたり、救いに至る道を段階立てて理解してきたといえるでしょう。イメージには、世代や立場、国境や言葉の壁をこえて、時間や空間を行き来する力があります。

また「イメージ」を媒介することで、世界観の内側に入りこみ、その中に自身を位置づけることが可能となります。例えば、アブラハムの宗教であれば天国の7つの階層図であったり、仏教であれば九品往生などの図像が思い浮かびます。また、教義の中で偶像を認めていない・重視しない宗教であっても、信仰の実践者たちは儀礼や祭祀、祈りの空間において「イメージ」のなかに入り込んでいくことができるといえるでしょう。それら様々な方法で表現され伝えられてきたものの集積が、宗教の歴史の一部を形成してきました。

当麻曼荼羅 (メトロポリタン美術館所蔵)

Inferno, nardo di cione,1354-57

世界観の中に身を置き、イメージの内側へと入り込む感覚は、もしかすると過去へ「スリップ」する感覚に近いかもしれません。

教えが説かれた時代であったり、そのイメージがつくられた時代、あるいは建築空間であればそれが建てられた時代、などなど・・・イメージを観る者は現代にいながらにして、過去の時間に「滑りこむ」ことが可能となります。

主体の視点において現代と過去が混ぜ合わされること、異なる時間軸のものが同じ空間の中に存在しうるということ、それは「異時同図法」––––ひとつの画面の中にいくつかの異なる時間軸の出来事が描かれる手法––––を連想させます。

オリーブ山でのイエスの祈り(壁画、大メテオロン修道院)

捨身飼虎図(玉虫厨子・法隆寺所蔵)

一枚の絵の中に織り込まれた物語を目で追っていくとき、その中を自分自身が旅するような感覚がもたらされるのではないでしょうか。

この手法には、膨大な時間や空間を一つの媒体の中にぎゅぎゅっと「圧縮」するための創意工夫がふんだんに込められていて、表現の部分で学ぶことが多くあります。

今回のぴゅあらんどでは、信仰の表現形態における「異時同図」の具体的事例を手がかりとして用いながら、それぞれの目的や意味合いの違い、そして圧縮されたものを「展開」する方法についてくーたんがリサーチした内容を発表します。

人々が求め、生み出し、大切にしてきたイメージの断片たちを拾い、味わう方法について皆さんとともに考えたいと思っています。

さらに…今回、このイベントに合わせて新作「ぴゅあらんど縁起絵巻」を制作します。

これまでのぴゅあらんどで学んだことを振り返りながら、古今東西の信仰の歴史を「異時同図」的にたぐりよせる方法を探ります。

制作過程をXでも発信予定なので、お楽しみに。

ぜひ、一緒に歴史の内側へとスリップしましょう!

 

※使用画像は全てパブリックドメインです

 

日時:2024年5月11日(土)15時~17時
■参加費:1,500円
■定員:30

イベント詳細

日時
2024年5月11日(土) 15:00~17:00
場所
龍岸寺
〒600-8247
京都府京都市下京区塩小路通大宮東入八条坊門町564
15:00
開店
15:10
くーたんによる研究発表

Part1: これまでの歩みと、現在の関心
・ぴゅあらんどでやってきたこと
・2019〜2021年、大学院で考えていたこと
・前回「来迎図のイコノロジー」からの振り返りと接続
・美術史と宗教史のあいだをゆく方法

Part2: 「異時同図」法を介した時間・空間の圧縮とその解凍(解釈)
・タイム・スリップ––––イメージにおける時間の横滑り
・「異時同図」表現の具体例を示す
・メタファーとしての絵巻
・方法への関心––––歴史のレールに乗り切らない断片をどうマッピングしていくのか?––––絵と字と図のあいだから、記憶と欲望の勾配をみる
16:00
質疑応答・ディスカッション
17:00
閉店

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